飲むと頭がすっきりして、リラックス効果も得られるコーヒー。その一方でカフェインが身体に悪いという話も耳にします。長年、コーヒーが人の身体に及ぼす影響について様々な研究がされてきました。過去にはガンになる可能性があると言われていたことも。いったいコーヒーは身体に良いのか悪いのか?最近注目されているクロロゲン酸の効果や「がん研究所」「WHO」などの研究結果の見解をわかりやすくご紹介します!
コーヒーのデメリット
まずはコーヒーのデメリットについてご紹介したいと思います。コーヒーを飲むと人にどんな影響がでるのでしょうか。農林水産省によると、コーヒーを過剰に摂取した場合に以下の影響があるとしています。
- めまい
- 心拍数の増加
- 興奮
- 不安
- 震え
- 不眠
- 消化器管の刺激による下痢や吐き気、嘔吐
- 高血圧リスクが高くなる可能性がある
- 妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性がある
そのほかにも、頭痛やイライラ、脱水症状、緊張感を引き起こすこともあります。日常的にコーヒーを飲んでいる方は過剰摂取にならないように気をつけましょう。
ガンのリスクは?
過去、WHOはコーヒーには発がん性のリスクがあると伝えてきました。しかしWHO(世界保健機関)の専門組織である国際がん研究機関は新たな研究結果を発表。「20種類以上のガンにおいて、コーヒーとの相関関係を実証するには説得力に欠ける」としました。これは今までの定説を覆す形となりました。
妊婦はコーヒーを飲んで良いの?
世界保健機関(WHO)は2001年、妊婦のコーヒー摂取について「摂取量を1日3〜4杯までにすべき」と言っていました。しかし2016年、妊婦のカフェイン摂取に関する勧告を新たに公表。妊婦が1日300mg以上の高カフェインを摂取することで、出生児の低体重や流産・死産のリスクが高まる可能性があるとしました。また各国でも妊娠中のカフェイン摂取について注意喚起を行っています。妊婦におけるカフェインの摂取制限量は各国で若干異なりますが、コーヒーの場合は概ねマグカップ2杯程度を推奨しています。人種はもちろん、体質や体格によってもカフェインが身体に与える影響は違います。心配な方はかかりつけの医師と相談するかノンカフェインのコーヒーを選ぶとようにしましょう。
各国の妊婦におけるカフェイン摂取制限量と見解
欧州食品安全機関 (EFSA)
習慣的なカフェイン摂取が1日に 200 mg以下であれば、胎児に健康リスクは生じない。
オーストリア保健・食品安全局(AGES)
1日200mg 以下のカフェイン摂取が胎児に悪影響を及ぼすことはない。
英国食品基準庁 (FSA)
カフェイン摂取を1日200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)、以下に制限するよう勧めている。
カナダ保健省
カフェイン摂取を1日に300 mg 以下(コーヒーの場合、マグカップ(237ml入り)で約2杯強)。
国際生命科学研究機構(ILSI)北米支部
健康な妊婦であれば、1日300mg以下のカフェイン摂取はリスクがないことが確認されたとしている。
ここまでコーヒーが人に与えるデメリットについて伝えてきましたが、コーヒーにはメリットも数多くあります。
コーヒーのメリット1|死亡リスクが減る
国立がんセンターの研究によると、コーヒーを1日3〜4杯飲む人は全く飲まない人に比べて「心疾患」「脳血管疾患」「呼吸器疾患」の病気で死亡するリスクがそれぞれ4割程度減少することがわかりました。さらに全死亡リスクが24%低いという結果が出ました。コーヒーを飲むと死亡リスクが減る理由は、コーヒーの中に含まれる酸による抗炎症作用や、血糖値の改善、血圧の調整をする働きがあると考えられます。さらにカフェインには血管内皮や呼吸器機能を改善する効果があると言われており、これらの効果によって循環器疾患や呼吸器疾患死亡のリスクが減ったと考えられています。
コーヒーのメリット2|肝がんの発生率が低くなる
同様に国立がんセンターの研究で、コーヒーを飲むことによって肝がんの発生リスクが減ることもわかりました。酸化した時にできる物質がDNAを刺激して細胞の突然変異を起こし、それが老化やがんの原因になると言われています。しかしコーヒーに含まれるポリフェノールの一種、クロロゲン酸は体内の炎症や酸化を抑える働きがあります。そのことによって肝がんを予防できるのではないかと考えられています。動物実験ではコーヒーに含まれるクロロゲン酸などの抗酸化物質が肝臓のがん化を防いでいるという報告も出ています。ただし、肝がんはB型かC型の肝炎ウイルスに感染している場合に発症する病気です。肝がんを防ぐには、まず肝炎ウイルス検査を受けて自分がウィルスに感染しているかどうか調べるのが重要だといえるでしょう。
コーヒーのメリット3|糖尿病を予防できる
クロロゲン酸には血糖値の上昇を抑える効果もあります。インスリンの分泌を抑制することで糖尿病を予防することができます。
コーヒーのメリット4|老化を防止できる
コーヒーにはタンニンやクロロゲン酸が含まれています。これらには抗酸化作用があり、老化の原因となる活性酸素を除去してくれます。そのためコーヒーを飲むことでシミやシワなどの老化防止にも期待できます。
コーヒーのメリット5|ダイエットに効果がある
コーヒーには利尿作用があり、体内の脳廃物を排出しやすくしてくれます。また血管を拡張する働きがあるため、基礎代謝をあげる効果も期待できます。さらにコーヒーに含まれるクロロゲン酸は糖質の吸収を緩やかにし余分な脂肪の溜め込みを防いだり、脂肪燃焼を促したりする効果があります。
コーヒーのメリット6|覚醒作用がある
コーヒーに含まれているカフェインには覚醒作用があるため、眠気覚ましにぴったりです。
抽出方法で効果も変わる?深煎り・浅煎りの特徴
深煎りのコーヒーには以下の成分が含まれています。
- カフェイン
- ニコチン酸
- NMP(N-メチル-2-ピロリドン)
トリゴネリンという成分を焙煎することによって、ニコチン酸に変化します。このニコチン酸には中性コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあり、動脈硬化の予防になります。またNMPには自律神経のバランス改善やストレス緩和の効果や、強い抗酸化作用による発がん性物質の解毒効果があると言われています。
浅煎りのコーヒーには以下の成分が含まれています。
- カフェイン
- クロロゲン酸
- トリゴネリン
- アミノ酸
体内の炎症や酸化を抑える効果があるクロロゲン酸は熱に弱い性質を持っています。そのため焙煎すればするほどコーヒー豆の含有量は減少します。クロロゲン酸を多く摂りたいなら浅煎りのコーヒー豆がおすすめです。またトリゴネリンは神経細胞を活性化させるといわれており、認知症や脳の老化防止の効果が期待できます。
コーヒー断ちをする時の注意点
体に様々なメリットがあるコーヒーですが、飲むのを止めたいと思う方もいるかもしれません。とはいえ急にコーヒーを断つのはおすすめできません。特にコーヒーを日頃から過剰摂取している方はカフェイン中毒になっている可能性があるので要注意です。カフェイン中毒の方がコーヒーを突然止めると、禁断症状によって様々な不調が起こってしまいます。コーヒーを断ちたいという方は、少しずつ量を減らしていくようにしましょう。
カフェイン中毒による主な禁断症状
- 頭痛
- 疲労感
- 眠気
- 抑うつ気分
- イライラ感
- 集中困難
- 嘔気や嘔吐
- 筋肉の痛みや硬直
まとめ
コーヒーと健康については長年様々な研究がされています。ですが過剰摂取にならなければメリットの多い飲み物だということがわかりました。1日2〜3杯ほどのコーヒーであれば健康に良い飲み物と言えるでしょう。適度な量を心がけて、コーヒーを楽しんでいってください!
[参考文献]
国立がん研究所|コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html
国立がん研究所|コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/274.html
厚生労働省|食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
食品安全委員会|食品中のカフェイン
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
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