会社を辞めて独立したい!開業手続きで何をすれば良い?

会社を辞めて開業する場合、いろいろな手続きがあって頭を悩ましてしまいますよね。開業にはどんな手続きが必要なのでしょうか? 1人で開業する場合と、従業員を雇う場合の各種保険の手続きなども解説していきます!

目次

開業する時の手続きは?

開業して事業を始める場合、必要な手続きは以下になります。

  • 税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出する。
  • 都道府県税事務所と市町村に「事業開始等申告書」を提出する。

税務署へ開業届を提出する

開業したら1ヶ月以内に納税地の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。納税地とは一般的には住所がある場所を指します。出張で頻繁に家にいない場合でも住所のある場所(生活の拠点となる場所)が納税地となります。自身の住所地を管轄する税務署がわからない時は、国税庁のWebサイトにある「国税局・税務署を調べる」で調べられます。自身が住んでいる住所ではなく、事業所の所在地を納税地としたい場合は、特例の適用を変更前の住所地を管轄する税務署へ届け出てください。

個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)の記入項目

  • 氏名
  • 生年月日
  • 納税地
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 職業
  • 開業日
  • 屋号(店や事務所の名前のこと。屋号はなくてもOK)
  • 事業の概要
  • 青色申告の承認申請の有無
  • 消費税の課税事業者選択届出の有無
  • 給与等を支払う人数

開業届の用紙は各税務署にあります。また、国税庁のWebサイトからダウンロードして郵送することも可能です。開業届を提出すると、受付印が押された控えをもらいます。この控えは補助金の申請などで必要になることがあるので保存しておきましょう。郵送で開業届を提出した場合でも、控えを返送してもらうことは可能です。返送方法については各税務署に前もって問い合わせをしてください。

青色申告承認申請書を提出する

青色申告承認申請書とは「青色申告」と呼ばれる申請書です。開業届の際、青色申告承認申請書は必須ではありません。しかし、開業届と一緒に提出するのがおすすめです。その理由は開業から2ヶ月以内に青色申告の申請をする必要があるからです。

また個人事業主は、原則確定申告を行わなければなりません。確定申告とは1年間の所得(売上から必要経費を引いた儲け)を報告し、納める税金を割り出すためのものです。確定申告には青色申告と白色申告があります。青色申告は白色申告に比べ帳簿の記入が大変ですが、節税対策でのメリットが大きいため、多くの個人事業主は青色申告を行っています。

事業開始等届出書を提出する

都道府県の税事務所と市町村にも「事業開始等申告書」を提出します。住んでいる地方自治体によって「事業開始等届出書」の名称や提出先、提出期限などが異なります。たとえば、東京都は事業開始から15日以内、神奈川県は1ヶ月以内が提出期限となっています。事業開始等届出書を提出する場合は「事業開始等申告書+都道府県名」で検索してください。手続き方法や申告書の入手方法や提出先、提出期限を調べられます。また事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所や市町村役場に、手続きを問い合わせるのも良いでしょう。

従業員を雇う場合は、各種保険の手続きを行う

従業員を雇う場合は労働保険(労災保険と雇用保険)に加入する必要があります。手続きは労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)で行います。社会保険(健康保険と厚生年金)は、常時雇用する従業員が5人以上で加入必須となり、事業主が保険料の半額を支払う義務が発生します。年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」および事業主の世帯全員の「住民票」などを提出します。ただし、常時雇用する従業員が5人未満や美容院などの特定の事業所は健康保険の加入は任意です。その場合、従業員半数の同意が必要です。

※詳細は日本年金機構の「新規適用の手続き」で確認できます。

あわせて読みたい

従業員の社会保険料支払い条件

社会保険の種類個人事業主による保険料支払いの条件
健康保険常時雇用する従業員が5人以上の場合、保険料の半額を事業主が払う
厚生年金常時雇用する従業員が5人以上の場合、保険料の半額を事業主が払う
労災保険従業員を1人でも雇えば事業主が全額を支払う
雇用保険従業員を1人でも雇えば事業主も保険料を支払う。※保険料は労働者の賃金額に一定の料率を掛けたもので料率は年度毎に決まります。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き

社会保険とは、健康保険・厚生年金・介護保険をあわせたものです。個人事業所で常時使用する従業員が5人以上の場合は加入義務が生じます。従業員を雇用した日から5日以内に社会保険の資格取得手続きを年金事務所で行います。提出書類は、健康保険・厚生年金保険 新規適用届、事業主の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号のないもの)の4点です。社会保険の新規適用手続きは期限が短いので注意しましょう。もし必要書類が手続き期間中に間に合わない場合は、年金事務所に問い合わせをしてください。

社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きに必要な書類

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 新規適用届
  • 事業主の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号のないもの)
  • 労災保険

労災保険の加入手続き

労災保険は、従業員を1人でも雇えば事業主が全額支払う義務があります。労災保険の加入手続きは労働基準監督署で行います。従業員を雇用した日が、労災保険の加入日となります。従業員を雇用した翌日から10日以内に「保険関係成立届」を、50日以内に「労働保険概算保険料申告書」を管轄の労働基準監督署に提出します。手続きに必要な書類は労働保険 保険関係成立届、労働保険 概算確定保険料申告書、登記簿謄本です。

労災保険の手続きに必要な書類

  • 労働保険 保険関係成立届
  • 労働保険 概算確定保険料申告書
  • 登記簿謄本
  • 雇用保険

雇用保険の加入手続き

管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。その際、一緒に賃金台帳、労働者名簿、タイムカード、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用契約書など雇用期間を確認できる資料も提出します。届出によって交付される「雇用保険被保険者証」は、事業主から被保険者本人(雇用した従業員)に渡す必要があります。

雇用保険の手続きに必要な書類

  • 「雇用保険被保険者資格取得届」
  • 賃金台帳
  • 労働者名簿
  • タイムカード
  • 他の社会保険の資格取得関係書類
  • 雇用契約書など雇用期間を確認できる資料

会社員だった場合は保険内容の変更もチェック!

会社員から個人事業主になった場合、健康保険は国民健康保険、年金は国民年金となります。そして会社と折半だった保険料は全額自己負担となります。労災保険は加入できますが、雇用保険には入れません。また個人事業主は原則、国民健康保険に加入します。国民健康保険は会社員が入る健康保険に比べて保障が手厚くありません。たとえば傷病手当金や出産手当金がなく、産休中・育休中の保険料免除もありません。扶養制度もないため、家族を扶養に入れることができません。しかし一部の業種に関しては個人事業主でも加入できることがあります。業種別に健康保険組合があるので、同業の個人事業主に聞いてみるのも良いでしょう。

会社員と個人事業主が加入できる社会保険の違い

社会保険の種類個人事業主会社員
健康保険国民健康保険 / 全額自己負担健康保険組合 / 会社と折半
年金国民年金 / 全額自己負担厚生年金 / 会社と折半
労災保険特別加入ができる会社が全額負担
雇用保険加入できない本人と会社がそれぞれ負担

まとめ

個人で事業をはじめる際は、原則下記2点の手続きですぐに開業できます。

  • 税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出する。
  • 都道府県税事務所と市町村に「事業開始等申告書」を提出する。

しかし従業員を雇う場合は各種保険の手続きが必要となってきますので注意しましょう。また、開業届を提出する際に青色申告承認申請書を一緒に出せば二度手間にならないのでおすすめです。

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