フリーランス必見!個人事業のメリット・デメリットまとめ

開業して働く男性

フリーランスには「個人事業主」と「法人」の2種類があります。「個人事業主」は「法人」と比べてどのような違いがあるのでしょうか。開業資金や節税対策など「個人事業主」におけるメリットとデメリットをご紹介します。

目次

個人事業主のメリットは?

個人事業は法人と比べて、開業資金はかからず開業の手続きも簡単です。一方、社会的な信用が法人よりも得られないというデメリットもあります。個人事業のメリット・デメリットについて順に見ていきましょう。

開業資金がかからない

法人の場合、登録免許税として最低15万円がかかります。しかし個人事業の場合は、一切費用はかかりません。また法人の場合は、税務署への届け出書類だけでも法人設立届出書、源泉所得税関係の届出書、消費税関係の届出書が必要です。定款の作成や登記するまでに早くても1週間、長ければ1ヶ月以上かかることもあります。しかし個人事業の場合は開業手続きも簡単です。納税地を所轄する税務署に「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出すればすぐに開業することができます。

一方で、税制上の優遇が受けるための「青色申告」を申請する場合や、従業員を雇う場合も税務署への届け出が必要になります。そのため開業届を提出する際に一緒に手続きをしておくと良いでしょう。特に「青色申告承認申請書」を事前に提出しておかないと、自動で白色申告者になりますので気をつけてください。

利益が少ないうちは納税額が少ない

個人事業主の売上には「所得税」、法人の売上には「法人税」が課せられます。「所得税」は累進課税です。そのため収入が増えた分だけ税率が高くなります。一方、「法人税」は、800万円を超えると税率が高くなります。所得が少ないうちは法人より個人事業の方が税金は少額になります。そのため事業が軌道に乗り収入が増えたら法人化する場合が多いようです。

一般的に個人事業主が法人化する目安は、税率が上がる330万円および900万円と言われています。しかし法人税や所得税の税率の違いや経費に計上できる範囲などは異なります。そのため所得がいくらなら個人事業の税負担が少ないかは一概には言えません。税の負担が気になる方は、詳しく検証するか税理士に相談してみましょう。

【税率が上がる所得の境目】

課税所得金額税率控除額(税額控除額)
所得税(個人事業主)  
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下40%2,796,000円
法人税(法人)  
800万円以下19%(資本金1億円以下の中小法人は15%) 
800万円以上23.2% 

事務の負担が少ない

1人で事業を行っているのであれば、従業員の給与計算などの事務負担はありません。売上から必要経費を引いた金額が純粋に所得(利益)となります。ただし常時5名以上従業員がいる場合は業種によって従業員を社会保険に加入しなければなりません。社会保険の加入対象となる従業員は、社会保険の種類と勤務時間、勤務日数、雇用期間などにより変わります。

法人の場合は会社から自分に給与を支払うことになり、源泉徴収を行って納付します。また従業員を一人でも雇えば労働保険に加入する義務が生じます。加入の手続きは労働基準監督署で行います。さらに「社会保険の加入対象事業所」となり、経営者一人の会社であっても社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要もあります。こちらの加入手続きは、年金事務所で行います。

個人事業のデメリット は?

続いて個人事業によるデメリットをご紹介していきます。社会的な信用が得にくい他に、税負担が多いなどがあげられます。

社会的な信用度が法人よりも低い

法人よりも個人事業の方が簡単に会社を設立できます。しかし社会的な信用が法人よりも劣ります。そのため、個人との契約を避けて法人との取引を希望する企業も少なくありません。

利益が多いと税負担が重い

所得(売上から必要経費を差し引いた利益)が増えると、税負担は法人よりも増えます。所得税は累進課税のため、所得金額が増えるごとに税率は上がります。また事務所や事業所があり、さらに所得が年間290万円を超える場合は、個人事業税も課されるようになります。

開業前・直後は金融機関からの融資を受けづらい

金融機関から融資を受けるには信用が重要です。しかし開業前や開業直後はその信用がありません。そのため運転資金の融資の審査は厳しくなります。一方で、国の政策として日本政策金融公庫から融資を受けることは可能です。また、昔と異なり現在はキャッシュフローや事業計画などもより重要視されるようになっています。そのため外部に対する信用が大きくなったら銀行などの金融機関や日本政策金融公庫の事業融資を検討しましょう

人材獲得で不利

事業拡大の際、優秀な人材の確保は欠かせません。しかし個人事業主が従業員を雇おうと考えた場合、人材集めが難しい実情があります。なぜなら求職者にとって個人事業主よりも法人の方が安定しているイメージがあるからです。そのため、人材を募集する際は厚生年金や健康保険に加入していることや給与形態を明確にし、少しでも求職者の不安を払拭するようにしましょう。また人材集めが難しい場合は、仕事を探している人物と仕事を依頼したい人物をマッチングさせるクラウドソーシングサービスを利用して業務を依頼する方法もあります。

「個人事業主」と「法人」の比較一覧

個人事業主法人
形態の種類特に無し。【営利法人】…株式会社、合同会社・合資会社・合名会社(持株会社)【非営利法人】…NPO法人、一般社団法人などの形態がある。
開業方法納税地を所轄する税務署に開業届を申請する。税務署の他、地方自治体への届け出が必要。
開業にかかる時間即日申請が可能。法人設立届出書、源泉所得税関係の届出書、消費税関係の届出書が必要。定款の作成や登記するまでに早くても1週間、長ければ1ヶ月以上かかることもある。
費用資金ゼロで開業が可能。登録免許税として最低でも15万円必要。
税務青色確定申告を申請すると、個人事業主控除、専従親族の給与控除、損益を3年間計上できる(白色申告でも可)。所得が高くない場合は、個人事業主の方が税負担が少ない。広範囲の経費項目があるため、節税に有利。所得が高くなると法人の方が税負担を抑えることができる。
健康保険国民健康保険社会健康保険
年金国民年金厚生年金
社会的信用事業を行う上では大きな問題はないが、社会的信用は法人よりも低い。法人の規模、業績(決算内容)によって信用を得ることができる。取引先の開拓や、事業拡大のために金融機関から融資を得る際などは、個人事業主より有利。
資金調達開業前後に日本政策金融公庫から融資を受けることが可能。個人事業よりも金融機関から融資を受けられやすい。

まとめ

個人事業は開業の資金がかからなかったり運営の手続きが簡単だったりするなどのメリットがあります。一方、法人に比べて社会的な信用がないなどのデメリットも。まずは個人で開業してある程度の収入が見込めたら節税対策も兼ねて法人化するのが良いでしょう。

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