本文では、著名な作家が亡くなった日と文学忌をご紹介します。
文学忌とは亡くなった作家の文学的な業績を偲ぶための日で、亡くなった日(例外あり)や雅号(がごう)、ペンネーム、代表作などにちなんでつけられます。また雅号とは、画家・文筆家などが、本名の他につけるきらびやかな別名のことです。
7月のカレンダーに目を通しながら、素晴らしい功績をあげた著名人に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
森鷗外(1862年〜 1922年)
- 命日:7月9日
- 文学忌:鷗外忌(おうがいき)
森鴎外は、明治から大正にかけて活躍した作家・軍医です。東京大学予科に最年少で入学し、大学では医学を学びました。卒業後はドイツへ留学し、その経験をもとに『舞姫』が執筆されたといわれています。そのほか、医学・文学の評論や小説・戯曲等の翻訳、ヨーロッパ文学の紹介などを行いました。
代表作に小説『舞姫』『雁』『山椒大夫』『高瀬舟』、史伝『渋江抽斉』などがあります。
毎年、東京・三鷹市の禅林寺では森鴎外の死を悼んで供養が行われています。
江戸川乱歩(1894年〜1965年)
- 命日:7月28日
- 文学忌:柘榴忌(ざくろき)
江戸川乱歩は日本を代表する推理小説家です。文学忌避の『柘榴忌』は、934年(昭和9年)に発表された中編小説『石榴』からつけられました。
江戸川乱歩の代表作には『怪人二十面相』『少年探偵団』『D坂の殺人事件』『人間椅子』などがあります。
ちなみに、漫画『名探偵コナン』の主人公【江戸川コナン】の名前は、江戸川乱歩とコナン・ドイルから名付けられています。
マリ・キュリー(1867-1934)
- 命日:7月4日
- 文学忌:キュリー忌・キュリー夫人忌
キュリー夫人は、現在のポーランド出身の物理学者・化学者です。ノーベル物理学賞とノーベル化学賞を受賞し、女性ではじめてパリ大学の教授になりました。
放射能の研究やラジウムの発見が有名で、『放射能』という言葉は彼女が発案しました。
井伏鱒二(1898-1993)
- 命日:7月10日
- 文学忌:井伏忌・鱒二忌
明治出身のユニークな文体で知られる作家。
本名は【井伏 滿壽二(いぶし ますじ)】で、釣りが好きだったため作家名に鱒(ます)という字をあてたといわれています。
代表作は『山椒魚』『黒い雨』『荻窪風土記』などがあります。
芥川龍之介(1892-1927)
- 命日:7月24日
- 文学忌:龍之介忌・河童忌・我鬼忌・澄江堂忌(ちょうこうどうき)
日本を代表する作家。『鼻』『羅生門(らしょうもん)』『地獄変』『歯車』など数多くの名作を残しました。文学忌には、彼の俳号からとった【餓鬼忌】や、小説の『河童』『澄江堂雑記(ちょうこうどうざっき)』からとった【河童忌】【澄江堂】があります。
幸田露伴(1867-1947)
- 命日:7月30日
- 文学忌:露伴忌・蝸牛忌(かぎゅうき)
「露伴・漱石・鷗外」と並び称される、近代文学を代表する作家の1人です。代表作は『五重塔』『連環記』など。
露伴はやどかりのように自宅を頻繁に変えたことから、自分の家を「かたつむりの家(蝸牛庵)」と呼んでいました。忌避日のひとつ、『蝸牛忌(かぎゅうき)』はそこから取られています。
谷崎潤一郎(1886-1965)
- 命日:7月30日
- 文学忌:谷崎忌・潤一郎忌
明治末期から昭和中期まで活躍した作家です。代表作に『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』『刺青(しせい)』『鍵』『痴人の愛』などがあります。
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