リフレーミングとは「事実」そのものは変えずに意味付けや捉え方を変化させ、ネガティブに捉えられていた事柄をポジティブに変換させる思考方法です。
「子供の短所が気になる」
「子育てでイライラしてしまう」
「多様性の社会を生きていくために、子供に柔軟な考え方を身につけさせたい」
そんな方はぜひリフレーミングを実践してみてください。
本記事では、子供と接する上で活用できるリフレーミングを、例を用いてわかりやすく解説しています。
83つの短所を長所に書き換えたワークシートもありますので、ぜひ活用してくださいね。
リフレーミングとは?
リフレーミングとは、否定的に意味づけられていた思い込みや固定概念を別の視点から捉え直して、新しい見方をする思考方法です。
コミュニケーション心理学の用語のひとつで、「リフレーム(再枠づけ)」が由来です。
たとえばコップに半分の水が入っているとします。
あなたはこれを、
「半分しか水が入っていない」
「半分も水が入っている」
どちらに捉えるでしょうか?
コップに入っている水の量は変わりませんが、視点を変えるだけでネガティブにもポジティブにも捉えることができます。
このリフレーミングの思考方法を実践すると今までの考えとは違った視点で物事を見られるようになり、ネガティブに感じていた事柄もポジティブに捉えられるようになります。
リフレーミングのメリットは?
子供に余裕を持って接しられるようになる
他人の子供だったらほほえましく思えることでも、自分の子供だとついイライラしてしまうことはありませんか?また、他人の子供と比べて自分の子供に対してネガティブな感情を抱いてしまうことがあるかもしれません。
そういう場合にもリフレーミングは有効です。ネガティブに捉えていた子供の性質をポジティブに捉えなおすことによって、我が子の個性を尊重し、余裕を持って接しられるようになります。
たとえばいつも騒がしい子供の場合、視点を変えると「明るい」「活発」「元気」と捉えることができます。
ただうるさくしていることを注意するのではなく、
「元気なのは良いけれど、もう夜だから静かにしようね」などと
一度子供の行動を肯定してから注意すると、子供は素直に受け入れやすくなります。
また注意するママ・パパにとっても言葉を変換するというワンクッションを置くことで、
感情のままに「叱る」のではなく、「注意」することができます。
自分に自信がつく・自己肯定感を育める
リフレーミングは子どもの「自己肯定感」を育てるのにも有効です。
自己肯定感を育むのには、自分への見方を肯定的に捉えることが重要です。リフレーミングを活用すれば、一見、短所に思えるようなことでも長所に変換することができます。
言い方を変えて伝えることで、子供は否定された気持ちにならず自己肯定感を育むことができます。
日常の声がけが子どものセルフイメージを作ります。子供の自己肯定感は10歳をピークに下がっていくと言われているので、常日頃から子供に前向きな言葉がけをして、自己肯定感を育むとよいでしょう。
物事を多方面から見られるようになる
社会全体が「多様性を認め合う」という動きにシフトしています。これからを生きる子供たちにとっても、お互いの違いを認め合う視点が大切になってきます。
リフレーミングとは、視点をどこに置くか、枠組みをどう見直すかということがキーとなります。あらゆる角度から物事を見られるようになるので、多様性の社会を受け入れる考え方としても重要です。
人間関係が良好になる
リフレーミングは自己分析だけでなく他者理解にも効果的な考え方です。「相手の立場に立つ」「相手を理解する」「相手に共感する」といったアプローチから物事を捉え、自分とは異なる相手の価値観を許容することでスムーズな人間関係を構築できるようになります。
苦手意識が弱まり、モチベーションがアップする
リフレーミングのメリットは、物事をさまざまな側面から見られるようになることです。
マイナスに捉えられがちなことでも、プラスに変換できるためコンプレックスを払拭し、自分に自信がつきます。
また視点を変えることで心にゆとりが生まれ、前向きに取り組むこともできるようになるでしょう。
たとえ壁にぶつかってもストレスにも強くなることもリフレーミングのメリットです。
リフレーミングのデメリットは?
リフレーミングにはデメリットもあります。リフレーミングの思考方法は、「事実」そのものは変えずに意味付けを変化させることです。そのため「自分はこのままで良い」と開き直ってしまうと、周囲に迷惑がかかる可能性がありますし本人も成長しません。
実際にある現実は変わらないので、マイナスな部分やネガティブに感じる部分を直視し、受け入れ、改善しようとする姿勢も大切です。
子育てに使える!リフレーミングの活用例
ネガティブに思えることでも、角度を変えるとポジティブに考えられることはたくさんあります。
子育てにおいてフレーミングをどのように活用できるのか、いっしょに見ていきましょう!
[行動のリフレーミング例]
・ご飯やお風呂の時間なのに、遊んでばかりで片付けようとしない
→集中力がある。ひとつのことに熱中できるのは才能。遊びを通して集中力を養っている。
・友達とはあまり遊ばず、一人遊びばかりしている
→自立している・独立心がある。まわりに流されない強い芯を持っている。
・お友達や兄弟とすぐけんかをしてしまう
→自分の感情を素直に出せる、子どものうちに人間関係や社会性を学んでいる。
・学校では良い子なのに家ではわがままばかり言う
→家庭が自分を出せる場所、リラックスできる場所になっている。オンとオフの切り替えができている。
・小テストで100点を目指していたのにケアレスミスをしてしまった
→苦手な部分を知ることができた。
→なぜケアレスミスをしたのか?緊張していたからなど、自分の改善点を省みることができた。
・サッカーの試合でレギュラーに選ばれなかった
→自分よりも強い仲間がたくさんいて、切磋琢磨できる環境だ。
→悔しさをバネにもっと練習して強くなってみせる。
・よく忘れ物をしてしまう
→「また忘れてしまった」「どうせ自分はダメなんだ」と思わずに、「どうしたら忘れ物を減らせるか」という別の視点から考える。
→部屋のとびらにチェック表を貼って、部屋から出るときに確認するようにする。→朝、親に声がけしてもらいダブルチェックをする
[パーソナリティのリフレーミング例]
・すぐ甘える
→甘えん坊なのは人を信じられているから。たくさんの人に可愛がられ、愛されてきた証拠
・わがまま
→自己主張ができる。グローバル社会において自分の意見を言えることは不可欠
・おっとりしている
→マイペース・癒し系。まわりを和ませることができる
・さわがしい
→明るい・活発・元気。ムードメーカーとして皆んなを盛り上げられる
・強引
→意思が強い・リーダーとしてまわりを引っ張る素質がある
[育児のリフレーミング例]
一人っ子で兄弟がいないことが可愛そうだと思ってしまう
→愛情をたくさん注ぐことができる。一人遊びのスキルを育める
・仕事が忙しくて子どもと関われない
→親以外と接する時間が多く、集団生活などを通して社会性を養えている
・子供に対してつい過保護になってしまう
→先回りして手を貸すことで危険回避ができているかもしれない
→子供の力を信じて少しずつ見守ってみる
今日から使える!リフレーミング一覧・ワークシート
全部で83の短所を長所に変換したリフレーミング一覧です。「長所(リフレーミングすること)」の空欄にはご自身が思う長所を書き出してみてください。繰り返し行うことで、ものごとを異なる視点で捉えられるようになるでしょう。ぜひ子供への声がけなどに活用してください。
また、リフレーミングは面接対策や就職活動でも使うことができます。
就職活動における短所を長所に変換する方法はこちらも参考にしてください。
あ行 | 短所 | 長所(リフレーミングすること) | 長所(リフレーミング例) |
甘えん坊 | 人にかわいがられる・人を信じることができる | ||
あきっぽい | 好奇心旺盛・切り替えが早い | ||
あきらめが悪い | いちず・チャレンジャー・粘り強い | ||
あわてんぼう | 直感的・行動的・素早く行動できる | ||
い | いいかげん | こだわらない・おおらか | |
意見が言えない | 人を立てる・控えめ | ||
いばる | 自信がある | ||
う | 浮き沈みが激しい | 感受性豊か・情熱的 | |
うるさい | 明るい・活発・元気 | ||
お | 怒りっぽい | 感受性豊か・情熱的 | |
おしゃべり | 人との会話を楽しめる | ||
おっとしている | マイペース・まわりを和ませる | ||
おとなしい | おだやか・人の話をよく聞ける | ||
面白みがない | まじめ | ||
か行 | かたくるしい | 律儀・まじめ | |
カッとしやすい | 感受性が豊か・情熱的 | ||
変わっている | 味がある・個性的 | ||
がんこ | 意思が強い・自分を持っている・信念がある | ||
き | 気が強い | いろいろなことに積極的・弱音をはかない | |
気が弱い | 自分よりまわりを大切にする | ||
気性が激しい | 感受性豊か・情熱的 | ||
きつい(性格がきつい) | はっきりしている | ||
厳しい | 妥協せず目標を追い求める | ||
く | 口がきつい | 素直に伝えられる | |
口が悪い | はっきりしている | ||
口が軽い | 気持ちをすらすら伝えられる | ||
口下手 | 言葉を慎重に選べる | ||
暗い | 自分の世界を大切にする | ||
け | けじめがない | 物事に集中できる | |
けち | 計画的にお金を使う | ||
こ | 強引 | 意思が強い・リーダーシップ・まわりを引っ張る力がある | |
興奮しやすい | 情熱的 | ||
こだわる | 向上心がある・自分の考えを大切にする | ||
断れない | 相手の立場を尊重する・優しい | ||
さ行 | さわがしい | 明るい・活発・元気 | |
し | しつこい | 根気がある・粘り強い | |
自分がない | 協調性がある | ||
自慢する | 自己主張ができる・自分を愛している | ||
地味 | 素朴・ひかえめ | ||
消極的 | ひかえめ・まわりを大切にする | ||
す | 図々しい | 行動力がある・堂々としている | |
せ | 責任感がない | 自由・無邪気 | |
せっかち | 反応が素早い | ||
そ | 外面が良い | コミュニケーション能力がある・社交的 | |
た行 | だまされやすい | 素直・純粋・人を信じられる | |
だらしない | 細かいことにこだわらない・おおらか | ||
短期 | 感受性豊か・情熱的 | ||
ち | 調子に乗りやすうい | 周りの雰囲気を良くする・ノリが良い | |
つ | 冷たい | 冷静・客観的 | |
て | でしゃばり | 世話好き | |
と | ドジ | いやし系・周囲をほっとさせる | |
な行 | 泣き虫 | 感受性豊か・人間味がある | |
生意気 | 自立心がある | ||
ね | 根暗 | 自分の世界を大切にする・ものしずか | |
の | のんき | 細かいことにこだわらない・マイペース | |
のんびりしている | おおらか・細かいことにこだわらない・マイペース・余裕がある | ||
は行 | 八方美人 | 人付き合いが上手 | |
反抗的 | 自立心がある・自分の考えがはっきりしている | ||
ひ | 人づきあいが苦手 | 一人の世界を持っている・細やかな心を持っている | |
人に合わせる | 協調性豊か | ||
一人になりがち | 自立している・独立心がある | ||
人をうらやむ | 人のよい所を認められる | ||
ふ | ふざける | まわりを楽しませる・ムードメーカー・陽気 | |
プライドが高い | 自分に自信がある | ||
ほ | ぼうっとしている | 細かいことにこだわらない・マイペース | |
ま行 | 負けず嫌い | 一生懸命・向上心がある・頑張り屋・粘り強い | |
まじめ | 誠実で一生懸命・頼りになる | ||
まわりを気にする | 心配りができる | ||
む | 無口 | おだやか・聞き上手 | |
向こうみず | 思い切りがいい・行動的 | ||
無理をする | 協調性がある・期待に応えようとする | ||
め | 命令したがり | リーダーシップがある | |
目立たない | 人の和を大切にできる・ひかえめ | ||
目立ちたがり | 自己表現が活発 | ||
面倒くさがり | おおらか・こまかいことにこだわらない | ||
や行 | やだばかり言う | 自己表現が活発 | |
ゆ | 優柔普段 | じっくり考える | |
よ | よく考えない | 行動的・直感にすぐれている | |
ら行 | 乱暴 | たくましい | |
り | 理屈っぽい | 語彙力がある・論理的 | |
る | ルーズ | こだわらない・おおらか | |
わ行 | わがまま | 自分の意見がある・自己主張ができる |
リフレーミングのおすすめ書籍3選
リフレーミングについて記された書籍をご紹介します。リフレーミングについてより理解を深めたい方はこちらもチェックしてみてくださいね。
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まとめ
リフレーミングは、ひとつの側面にこだわらず多様な側面から物事を捉える考え方です。
ひとつの事柄でも、どの視点から見るかによって感じ方や考え方は変わってきます。
子供の短所が気になるときや育児でイライラしたときは、ぜひリフレーミングを実践してみてください!
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