老後資金の準備は、もはや他人事ではありません。 厚生年金とiDeCoは、老後を支える代表的な年金制度ですが、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。この記事では、厚生年金とiDeCoをわかりやすく解説し、あなたにぴったりの老後資金の準備方法 をご紹介します。
厚生年金の特徴
厚生年金は、会社員や公務員などが加入する国が運営する年金制度 です。企業と従業員が折半で保険料を負担し、老後の生活を支えるための基盤となります。厚生年金は、国民年金に上乗せされる形で支給され、給付額は過去の収入や保険料の支払額などを基に確定 しています。
- 企業に所属している人向けの公的年金
会社員や公務員などが加入する年金で、国民年金に上乗せされる形で支給されます。 - 企業と従業員が折半で保険料を負担
給与から天引きされる形で保険料が支払われます。 - 運用はGPIFが行う
厚生年金の保険料は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって運用されます。 - 給付額は確定
過去の賃金や保険料の支払額などを基に、将来受け取れる年金額が概算でわかります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で運用できる私的な年金制度 です。国民年金や厚生年金とは別に、個人が任意で加入し、掛金を拠出することで、老後資金を積み立てることができます。iDeCoの最大の特徴は、税制優遇 が受けられる点です。掛金全額が所得控除の対象となり、運用益も非課税で受け取れるため、効率的に老後資金を準備できます。
- 任意加入の私的年金
国民年金や厚生年金に加えて、個人が任意で加入できる年金です。 - 掛金全額が所得控除の対象
税制優遇により、老後資金を効率的に積み立てることができます。 - 自分で商品を選べる
投資信託など、様々な金融商品から自分にあったものを選ぶことができます。 - 運用益が非課税
運用で得られた利益は、受け取るときに税金がかかりません。 - 拠出上限額あり
年齢や収入によって拠出できる金額が異なります。
日本の年金制度は “ 3階建て ”
日本の年金制度は、大きく分けて3つの階層から成り立っているため、「3階建て」と呼ばれています。
- 国民年金:
- 加入対象: 20歳以上の国民全員
- 特徴: 基礎的な年金で、老齢年金、障害年金、遺族年金などが支給されます。
- 特徴: 国民皆保険の一環として、国民全員が加入が義務付けられています。
- 厚生年金:
- 加入対象: 会社員や公務員など、企業に所属している人
- 特徴: 国民年金に上乗せされる年金で、一般的に国民年金よりも高額な年金が支給されます。
- 特徴: 企業と従業員が折半で保険料を負担します。
- 私的年金:
- iDeCo: 個人型確定拠出年金
- 企業年金: 企業が独自に運営する年金
- 特徴: 国民年金や厚生年金に加えて、個人が任意で加入する年金です。
厚生年金とiDeCoの比較表
厚生年金とiDeCoの比較はこちら。
区分 | 厚生年金 | iDeCo(個人型確定拠出年金) |
---|---|---|
加入対象 | 会社員、公務員など、企業に所属している人 | 任意で加入できる国民全員(ただし、加入条件あり) |
性格 | 公的年金 | 私的年金 |
特徴① | 国民年金に上乗せされる | 税制優遇(所得控除)、自分で運用商品を選べる |
特徴② | 企業と従業員が折半で保険料を負担 | 掛金全額が所得控除の対象 |
特徴③ | 運用はGPIFが行う | 運用先は自分で決める* 運用益が非課税 |
金融商品 | 一定 | 投資信託、確定拠出年金商品など |
目的 | 老後生活の安定 | 老後資金の積み立て |
厚生年金とiDeCoのメリット・デメリット
厚生年金とiDeCo、それぞれのメリット・デメリットはこちらです。
特徴 | 厚生年金 | iDeCo |
---|---|---|
メリット | 運用は国が行うので安心 | 税制優遇、自分で運用できる |
デメリット | 給付額が確定している | 運用成績によって将来の年金額が変動する |
厚生年金とiDeCoで選択できる金融商品は?
厚生年金は運用は国で行う。運用機関のGPIFとは?
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国民年金と厚生年金の保険料の積立金を運用する機関です。主に、株式、債券、不動産などに投資を行い、その運用益は年金財政の安定に貢献しています。たまにGPIFをiDeCoで選択できる金融商品だと思われる方がいますが、GPIFは、国民年金と厚生年金の積立金を運用する機関であり、個人が直接投資できるものではありません。
iDeCoで選択できる金融商品
- 投資信託: 国内株式、海外株式、債券、バランス型など、様々な種類の投資信託から選ぶことができます。
- 確定拠出年金商品: iDeCo専用の商品で、比較的安定的な運用が期待できます。
*金融機関が提供する、投資信託や確定拠出年金商品などの中から、自分で選ぶことができる。金融庁が定めているものとしては、以下の点が挙げられる。
- 商品数
1つの金融機関が提供する商品の数は、最低でも3種類以上、35種類以下と定められています。 - 情報開示
金融機関は、各商品のリスクや手数料など、必要な情報をわかりやすく開示する義務があります。 - 適合性原則
金融機関は、加入者の属性や投資経験などを考慮し、適切な商品を勧める義務があります。
iDeCoを選ぶべきか?検討ポイント
厚生年金とiDeCoの違いは分かったかと思います。その上で、会社員の方は国民年金と厚生年金に上乗せでiDeCoを選択する必要があるのか、自営業者であれば国民年金に上乗せする必要があるのかを検討して見てください。iDeCoを選ぶべきかは、ご自身の状況や将来設計によって異なります。
iDeCoを選ぶべき人の特徴
- 税金対策をしたい方
iDeCoは、掛金全額と運用益が非課税になるため、所得税や住民税の節税効果が期待できます。 - 積極的に資産運用を行いたい方
iDeCoは、自ら運用商品を選択できるため、株式や投資信託など、さまざまな資産に分散投資を行うことができます。 - 老後の資金準備をしたい方
厚生年金だけでは将来の生活費が不安な方にとって、iDeCoは不足分を補う手段の一つとなります。
iDeCoを選ぶ際の注意点
- 長期的な視点
iDeCoは、原則60歳まで引き出すことができないため、長期的な視点で運用する必要があります。 - 運用リスク
自ら運用商品を選択するため、市場の変動によって元本が割れるリスクがあります。 - 手数料
証券会社や金融機関の手数料がかかります。
検討する際のポイント
- 将来設計
老後にはどのくらいの生活費が必要か、今の収入はどのくらいかなどを具体的に考えてみましょう。 - リスク許容度
どれくらいのリスクを許容できるか、自分の性格や資産状況に合わせて考えましょう。 - 税制優遇
節税効果をどの程度期待できるか、他の節税対策との兼ね合いも検討しましょう。
まとめ
厚生年金は、会社員などが加入する公的年金で、国民年金に上乗せされます。一方、iDeCoは、個人が任意で加入できる私的な年金制度で、税制優遇などのメリットがあります。日本の年金制度は、この2つに加えて国民年金があり、3階建て構造になっています。GPIFは、国民年金と厚生年金の積立金を運用する機関であり、iDeCoとは別のものです。
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