ことわざの種類は多く、特に身近な「体」を使ったことわざはたくさんあります。そこで今回は、日常ではあまり使わない体を使ったことわざをご紹介します。全部知っていたらあなたはことわざ博士! いくつ知っているかカウントしたり、ことわざから意味を想像してみたり、楽しみながら読んでみてくださいね☆
▼「体」のつく簡単なことわざはこちらをご覧ください▼
目次
「頭」のつく難しいことわざ
頭剃るより心を剃れ
- 読み方:あたまそるよりこころをそれ
- 意味:僧になるために頭を剃っても、心がともわなければ意味がないこと。形よりも心・精神が大事だということわざ。
他人の疝気を頭痛に病む
- 読み方:たにんのせんきをずつうにやむ
- 別表記(1):隣の疝気を頭痛に病む(となりのせんきをづつうにやむ)
- 別表記(2):人の疝気を頭痛に病む(ひとのきせんをずつうにやむ)
- 意味:「疝気(せんき)」は、腰や下腹の内臓が痛む病気のこと。お隣の疝気を自分の頭が痛くなるほど心配する意味から、自分に関係のないことを心配するたとえ。
頭動かねば尾が動かぬ
- 読み方:かしらうごかねばおがうごかぬ
- 意味:上に立つ者がまずはじめに行動しないと、下の者が働かないこと。
正直の頭に神宿る
- 読み方:しょうじきのこうべにかみやどる
- 意味:正直な人には、神様が守り助けてくれること
「目」のつく難しいことわざ
魚の目に水見えず
- 読み方:うおのめにみずみえず
- 意味:自分の関わりが深いものは身近にありすぎて、かえって気づかないという意味のことわざ。
男の目には糸を引け女の目には鈴を張れ
- 読み方:おとこのめにはいとをひけおんなのめにはすずをはれ
- 意味:男の目は糸を引いたように細くてまっすぐなのが良く、女の目はぱっちりとして大きいのが良いというたとえ。
盲千人目明き千人
- 読み方:めくらせんにんみききせんにん
- 別表記:目明き千人盲千人(めききせんにんもうせんにん)
- 意味:世の中には、物事の本質がわかる人もいれば、わからない人もいるということわざ。
※盲(めくら)とは目が見えないことや、文字が読めない人のこと。現代では差別用語にあたるため、使用していません。
餓鬼の目に水見えず
- 読み方:がきのめにみずみえず
- 意味:餓鬼(地獄に落ちた亡者)は喉がとても乾いているので、そばに水があっても気づかないという意味。何かを欲しがりすぎて、身近にあっても逆に気づかないということわざ。
「口」のつく難しいことわざ
一口物に頬を焼く
- 読み方:ひとくちものにほおをやく
- 意味:食べ物を少し口に入れただけでやけどをすること。ちょっとしたことに手を出して、思いがけず失敗をするということわざ。
一人口は食えぬが二人口は食える
- 読み方:ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる
- 別表記:二人口は過ごせるが一人口は過ごせぬ(ふたりぐちはすごせるがひとりぐちはすごせぬ)
- 意味:独身でいるよりも、結婚した方が生活費に余裕が出て得だということわざ。
天に口無し人を以て言わしむ
- 読み方:てんにくちなしひとをもっていわしむ
- 意味:天には口がないので、意思を伝えたいときは人の口を借りて言うということわざ。人々の間で自然に広がる声こそ、真実であるという意味。
川口で船を破る
- 読み方:かわぐちでふねをわる
- 意味:長い後悔を終えて、やっと港の近くまでやって来た時に船を壊してしまう。または、いざ航海に出ようとした時に船を壊してしまうという意味。そこから、成功する直前や何かを始めようとする時に失敗してしまうことのたとえ。
蛙は口ゆえ蛇に呑まるる
- 読み方:かえるはくちゆえへびにのまるる
- 別表記:蛙は口から蛇に呑(の)まるる(へびはくちからへびにのまるる)
- 意味:黙っていれば何ともないのに、変なことを言ったことで身を滅ぼすことのたとえ。
風口の蝋燭
- 読み方:かざくちのろうそく
- 別表記:風前の灯(ふうぜんのともしび)
- 意味:はかないことを表すことわざ
舌の剣は命を絶つ
- 読み方:したのつるぎはいのちをたつ
- 意味:軽はずみな発言のために、自分の命を失うことがあるということわざ。言葉は慎重に選ぶべきだという教え。
時の用には鼻をも削ぐ
- 読み方:ときのようにははなをもそぐ
- 別表記:時の用には鼻を欠け(ときのようにははなをかけ)
- 意味:危険が差し迫っている時や、急いで対応する必要がある場合は、手段を選ばずに鼻を切り落とすようなこともした方がよいということ。
牛は願いから鼻を通す
- 読み方:うしはねがいからはなをとおす
- 別表記:牛と芥子は願いから鼻を通す(うしとからしはねがいからはなをとおす)
- 意味:牛が鼻輪を付けられるのは、そうしなければ従わない牛の生まれつきの性格が招いたことだから。人がからしで鼻が痛くなるのも、その人が望んでからしを口にしたから。そこから、自分から望んで苦しみやわざわいを受けることのたとえとなった。
「手」のつく難しいことわざ
無き手を出す
- 読み方:なきてをいだす
- 意味:無い知恵をしぼって努力を尽くすこと。あらゆる手段をとること。
上手の手から水が漏れる
- 読み方:じょうずのてからみずがもれる
- 意味:どんなに上手な人でも、失敗することがあるということわざ
人手に掛かる
- 読み方:ひとでにかかる
- 意味:(1) 他人に殺されること、(2)他人に助けられること、(3)他人に養われること
大海を手で塞く
- 読み方:たいかいをてでせく
- 意味:不可能と思われることをしようとすること。仕事の難しさに無力なことのたとえ。
宝の山に入りながら手を空しくして帰る
- 読み方:たからのやまにいりながらてをむなしくしてかえる
- 意味:よい機会がありながら、そのチャンスを逃して何の利益も得られないこと。
得手に帆を揚げる
- 読み方:えてにほをあげる
- 意味:得意なことを実行できるチャンスがきたら、逃さずに風にのるべきということわざ。
手習いは坂に車を押す如し
- 読み方:てならいはさかにくるまをおすごとし
- 意味:学んだことは少し気を抜くと元へ戻ってしまうので、常に努力するべきだということわざ。
「腕」のつく難しいことわざ
朝雨は女の腕まくり
- 読み方:あさあめはおんなのうでまくり
- 意味:朝に降る雨はすぐに上がるから、女の人が腕まくりをして強がっているのと同じで怖くないという意味。心配するに当らないということわざ。
衣は骭に至り袖腕に至る
- 読み方:ころもはかんにいたりそでうでにいたる
- 意味:頼山陽※の「前兵児謡」のはじめの句から、 たけの短い着物を着て、すねや腕をまる出しにしているという意味。 心や体が強くぶこつであることのたとえ。
※江戸時代後期の歴史家・思想家・漢詩人・文人
「腹」のつく難しいことわざ
大食腹に満つれば学問腹に入らず
- 読み方:たいしょくはらにみつればがくもんはらにいらず
- 意味:食べすぎてお腹がいっぱいになると、頭の働きがにぶくなるということわざ
商人は腹を売り客は下より這う
- 読み方:あきんどははらをうりきゃくはしたよりはう
- 意味:商人ははじめに高い値段をつけて少しずつ下げていくが、客は最初に安い値段を言ってだんだん高くして買うのがならわしだということわざ。
擂り粉木で腹を切る
- 読み方:すりこぎではらをきる
- 別表記:(1)杓子で腹を切る(しゃくしではらをきる)
- 別表記:(2)連木で腹を切る(れんぎではらをきる)
- 別表記:(3)杓子で腹を切る(しゃくしではらをきる)
- 意味:擂り粉木で芋を盛る(すりこぎでいもをもる)
聞けば聞き腹
- 読み方:きけばききばら
- 意味:聞かなければ何も知らないのと同じだから平気だが、聞いたら腹立たしくなってしまうこと。
股を割いて腹に充たす
- 読み方:ももをさいてはらにみたす
- 意味:自分のももの肉を食べて腹を満たす意味から、自分を支えているものを犠牲にしてでも欲望を満たそうとして破滅すること。
腹の皮が突っ張れば目の皮が弛む
- 読み方:はらのかわがつっぱればめのかわがたるむ
- 意味:お腹がいっぱいになると眠くなるという意味。
まとめ
数多くあることわざの中で、今回は普段あまり目にしない体を使った難しいことわざをご紹介しました。こちらの記事で紹介していることわざは日常会話で使うことは少ないかもしれませんが、知っているだけで教養になりますよね。
ことわざは日本人の教訓と知恵が詰まっており、深い意味があります。少しでもことわざの面白さを感じていただけたら幸いです!
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