コロナ禍でも業績好調! 転職で狙うべき業界は? 

成長のグラフ線

新型コロナの感染拡大は、雇用に大きな影響を及ぼしています。日本経済新聞の6月の労働力調査によると、宿泊、サービス、娯楽などの就業者数が大きく減少しました。その一方で、教育や医療などの就業者数は増加しています。転職を考えるにあたって「コロナに強い業界」とはどういったものなのでしょうか? 売り上げが好調な企業もご紹介していきます。

目次

多くの業種がコロナの影響を受けている

厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率は1.11倍となりました。この有効求人倍率とは、仕事を求めている人に対して何件あたりの求人があるかを示したものです。有効求人倍率が高いほど求職者が仕事を選べるということになり、景気動向のひとつの指標となっています。現在は新型コロナウィルスの収束の兆しが見えず、有効求人倍率は2019年(令和元年)12月の1.68倍以降、6ヶ月連続で下回っています。

帝国データバンクの意識調査によると、新型コロナの感染拡大がマイナスに影響している、もしくは今後マイナスに影響するだろうと答えた企業が、全体の84.5%に上っています。その一方で、新型コロナの影響が業績にプラスに働いていると答えた企業もあります。では、業績にマイナスに影響している・プラスに影響していると答えた業種はどういったところなのでしょうか?

コロナの影響が「マイナス」に働いている業種は?

はじめに、新型コロナウィルスの影響がマイナスに働いていると答えた業種について見ていきたいと思います。「家具類小売」と「旅館・ホテル」の業種がタイ1位となり、続いて「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「放送」「広告関連」という結果になりました。人の動きが制限されるため、旅行業・観光業・飲食業などが大きな影響を受けるのはもちろんですが、「家具類小売」「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「マスコミ」といった業種も、コロナ禍でマイナスの影響を受けていることがわかりました。

順位業種
1位家具類小売
1位旅館・ホテル
3位繊維・繊維製品・服飾品卸売
4位放送
5位広告関連
6位出版・印刷
7位輸送用機械・器具製造
8位娯楽サービス
9位飲食店
10位繊維・繊維製品・服飾品小売

コロナの影響が「プラス」に働いている業界・企業は?

一方、新型コロナウィルスの感染拡大により、業績がプラスの影響を受けたと答えている業種もあります。最も高かったのがスーパーマーケットなどの「各種商品小売」で、全体の 3 割近くにのぼりました。次いで、インターネット接続業などの「電気通信」、「飲食料品小売」、「家電・情報機器小売」、「医薬品・日用雑貨品小売」という結果になりました。リモートワークや在宅学習が増えたことにより、通信データの増加や模様替えなどのアイテムが購入されているほか、外食を控えることで食材などの購入が増えていることが要因と考えられます。

各種商品小売業の中でもとりわけ業績が好調だったのが、ニトリホールディングスです。ニトリは「巣篭もり需要」により、キッチン用品やオフィス用品の売上が拡大しています。同社は20年3~5月期(第1四半期)の連結決算(6月25日発表)では、純利益が前年同期比25%もアップしています。スーパーでは、業界トップのライフコーポレーションの5月度の既存店売上高は、対前年同月に比べて8.9%アップしています。続いて2位のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは9.2%、バローホールディングスは10・7%と、それぞれ2ケタ前後、売り上げが伸びています。ドラッグストアにおいても2桁前後の伸び率を示しています。インターネットの利用が増えたことにより、「電気通信」をはじめとするIT業界も好調です。また全国出版協会・出版科学研究所は、上半期の電子出版の市場規模(推定販売金額)が、前年同期比28.4%増の1762億円だったと発表しています。このようにコロナ禍であっても業績を伸ばしている業種や企業は数多くあります。今後はECサイトの強化やネットワークインフラの拡張といった動きも見えてくるでしょう。そのため、通信インフラの業種も好調になってくると考えられます。

順位業種
1位各種商品小売
2位電気通信
3位飲食料品小売
4位家電・情報機器小売
5位医薬品・日用雑貨品小売
6位飲食料品・飼料製造
7位化学品卸売
8位化学品製造
9位紙類・文具・書籍卸売
10位金融
帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年6月)」参照

世界で業績が好調な業種・企業は?

次に、外国でコロナの影響がプラスに働いている業種を見ていきたいと思います。米アマゾンは、新型ウイルス感染防止対策に多額の支出をしているにも関わらず、大きな利益を上げています。オンラインショッピングの急増により、純利益が前年同期比2倍の52億ドル(約5420億円)となり、1994年創業以降で最大となりました。人手不足のため、3ヶ月間で17万5000人もの求職者を採用しました。

アップルでも、売上高が前年同期比11%増の597億ドル(約6兆2210億円)、最終利益は112億5000万ドルで、前年同期の100億ドルを上回りました。リモートワークや自宅学習の増加で、パソコンやiPadの売上が2桁を超える伸び率となっています。

売上が低迷していた世界の半導体メーカーも好調です。世界主要10社の2020年1~3月期の純利益は、5四半期ぶりに増益に転換しました。その理由は、次世代通信規格「5G」を視野に入れたデータセンターの投資が加速し演算処理向けの半導体が好調だったことに加えて、ステイホームによる通信量の増加も追い風となっています。

新型コロナウイルスの影響で日本経済は低迷していますが、元々、少子化による人口減少や高齢化などの問題も抱えていました。このコロナ禍を機に、外資系企業に目を向けるという選択肢もあります。語学に自信が無い方は、リモートワークによって空いた時間に英会話を学ぶのも良いでしょう。

まとめ

転職を考えている方は、業績が好調かどうかはもちろん、各企業がコロナ禍でどのような対応をしているかもしっかり確認しましょう。業種によっては巣篭もり特需で一定期間だけ売上が伸びていることも考えられますし、経営が堅調であってもずっと続く保証はありません。しかし新型コロナウィルスの感染拡大という、世界的危機に面した時に変化し対応しようとする姿勢が見られる企業は、たとえ経営が悪化しても持ち堪える可能性が高いです。

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