NISAにおいて長期投資と分散投資は非常に重要な戦略です。そのために欠かせないのが「ポートフォリオ」の存在です。そこで今回は長期投資や分散投資の重要性をはじめ、ポートフォリオの作り方などについてまとめました。
ポートフォリオとは
そもそも「ポートフォリオって何?」
NISAをはじめるにあたって、「ポートフォリオ」という言葉を度々目にすることがあるかもしれません。資産運用の世界におけるポートフォリオとは、運用する金融資産の組み合わせ、つまり資産配分のことを指します。
ポートフォリオを組むには、どのような銘柄(会社)の株を買うか、何株ほど持つか、どのくらいの期間保有するのかなどの検討を行います。
特にNISAで重要なのが長期投資(長い期間株式を持つこと)です。
ポートフォリオは必要?
ポートフォリオとは、複数の資産を組み合わせたもので、投資における分散投資を実現するためのものです。ポートフォリオが必要な理由は下記の通り。
- リスクの分散
- 株式は市場の状況や企業の業績によって価格が大きく変動するリスクがありますが、債券は比較的安定した収益が期待できます。
- 複数の種類の株式や債券、さらには不動産や金など、様々な資産を組み入れることで、一つの資産の価格が大きく変動しても、他の資産で補うことができ、全体的なリスクを軽減することができます。
- 目標達成のための効率化
- 投資の目的は人それぞれです(老後資金、子供の教育資金など)。ポートフォリオを構築することで、それぞれの目標に合わせた最適な資産配分を設定し、効率的に目標達成を目指せます。
- 例えば、短期的には安定した収入を求める場合は債券の割合を多くし、長期的に大きなリターンを求める場合は株式の割合を多くするといった調整が可能です。
- リスク許容度の反映
- 投資に対するリスクの許容度は人それぞれです。
- ポートフォリオを構築することで、自分のリスク許容度に合わせて、株式と債券の割合を調整し、安心して投資を続けることができます。
ポートフォリオ作成で押さえておきたいポイント
ポートフォリオに入れる株式の選び方を知りたいな
市場全体への分散投資
株式は個別株ではなく、指数に連動したETFや投資信託を選びましょう。
- 個別株のリスク軽減
特定の企業の業績に左右されることなく、市場全体の動きに連動するため、個別株に投資するよりもリスクを分散できます。 - 多様なセクター(業種)への投資
1つの指数に投資することで、様々な業界の企業に間接的に投資でき、ポートフォリオの多様化を図ることができます。
分かりやすい投資
初心者であればシンプルで分かりやすい投資が良いでしょう。
- 市場の動向を把握しやすい
ニュースなどでよく取り上げられる主要な指数に連動するため、市場の動向を把握しやすく、投資初心者でも取り組みやすいです。 - アクティブファンドとの比較
経験豊富なファンドマネージャーが銘柄を選定するアクティブファンドと比較して、指数は客観的な基準に基づいて構成されているため、シンプルで分かりやすいのが特徴です。
長期的な資産形成に適している投資
株価指数に連動するようなETFや投資信託への投資は長期投資に適しています。
- 市場全体の成長に期待: 長期的に見ると、株式市場は成長する傾向にあるため、指数に投資することで、市場全体の成長の恩恵を受けることができます。
- コストの低さ: アクティブファンドと比較して、指数に連動するインデックスファンドは運用コストが低い傾向にあるため、長期的な資産形成には有利です。
指数を選ぶ際の注意点
株式投資で指数を選ぶことは、市場全体に分散投資を行い、シンプルかつ長期的な資産形成を目指す上で有効な手段です。ただし、以下の事を考慮してご自身に合った投資方法を選択する事が重要。
- どのような指数を選ぶか: 日経平均株価、TOPIX、S&P500など、様々な指数があります。各指数がどのような銘柄で構成されているか、どのような市場を代表しているかなどをよく理解することが重要です。
- 投資期間: 短期的な売買ではなく、長期的な視点で投資することをおすすめします。
- リスク許容度: すべての投資にはリスクが伴います。ご自身のリスク許容度に合わせて、投資計画を立てることが重要です。
ポートフォリオに債券を組み入れる
ポートフォリオに債券を組み入れる理由は、株式との相関性が低く、価格変動が株式に比べて少ないという特徴があるため、リスクを抑えながら安定した収益を得ることを目的としています。
債券を組み入れる主なメリット
株式投資だけでなく債券を組み入れるメリット
- リスクの分散: 株式は市場の状況や企業の業績によって価格が大きく変動するリスクがありますが、債券は比較的安定した収益が期待できます。そのため、株式と債券を組み合わせて投資することで、ポートフォリオ全体の変動リスクを軽減することができます。
- 安定収入の確保: 債券は定期的に利子が支払われるため、株式のような値動きの激しい資産に比べて、安定した収入を得ることができます。
- インフレヘッジ: 高インフレ期には、債券の価格は下落する傾向がありますが、インフレ連動債など、インフレ率に連動して利息が変動する債券もあります。これらの債券を組み入れることで、インフレリスクをヘッジすることができます。
債券を組み入れる際の注意点
債券もなんでも良いわけではなく以下の観点を考慮する必要があります。
- 債券の種類: 債券には、国債、地方債、社債など様々な種類があり、それぞれリスクや利回りが異なります。ご自身の投資目的に合わせて、適切な債券を選ぶことが重要です。
- 金利変動リスク: 金利が上昇すると、一般的に債券価格は下落します。そのため、金利変動リスクに注意する必要があります。
- 信用リスク: 企業が発行する社債の場合、企業の経営状況が悪化し、債務不履行となるリスク(信用リスク)があります。
債券と株式との関係
株式と債券の経済成長とパフォーマンスについて、重要なポイントをいくつか挙げてみましょう。
- 経済成長との関係:
- 株式:一般的に経済成長と正の相関関係にあります。企業の収益が増加すると株価も上昇する傾向があります。
- 債券:経済成長との関係はより複雑です。高成長期には金利が上昇し、既存の債券価格は下落しやすくなります。
- 長期的パフォーマンス:
- 株式:歴史的に見て、長期的には債券よりも高いリターンを生み出す傾向があります。
- 債券:株式ほどの高リターンは期待できませんが、より安定した収益を提供します。
- リスク:
- 株式:短期的には大きな価格変動があり、リスクが高いです。
- 債券:一般的に株式よりもリスクが低く、価格変動も小さいです。
- インフレーションの影響:
- 株式:インフレに対して比較的強い耐性があります。企業は価格転嫁できる場合が多いためです。
- 債券:固定金利の債券はインフレにより実質的な価値が目減りする可能性があります。
- 経済サイクルとの関係:
- 株式:景気拡大期に強い傾向があります。
- 債券:景気後退期に相対的に強くなることが多いです。
- 配当/利子:
- 株式:配当を通じて定期的な収入が得られる可能性があります。
- 債券:定期的な利子支払いがあり、安定した収入源となります。
これらの特性を理解することで、投資家は自身のリスク許容度や投資目的に応じてポートフォリオを構築することができます。例えば、若い投資家は成長を重視して株式比率を高めに、退職間近の投資家は安定性を重視して債券比率を高めに設定するなどの戦略が考えられます。
債券を株式に組み合わせる割合
ポートフォリオにおける株式と債券の割合について、一般的な考え方を説明します。
NISAは個人投資家向けの税制優遇制度で、主に長期的な資産形成を目的としています。ポートフォリオの構成は個人の投資目標やリスク許容度によって異なりますが、一般的な考え方をお伝えします:
- 年齢による配分の目安:
- 若年層(20〜30代): 株式 70-80%、債券 20-30%
- 中年層(40〜50代): 株式 60-70%、債券 30-40%
- 高年層(60代以上): 株式 50-60%、債券 40-50%
- リスク許容度による調整:
- リスク許容度が高い場合: 株式の比率を増やす
- リスク許容度が低い場合: 債券の比率を増やす
- 市場環境や経済状況による調整:
- 経済成長期: 株式の比率を増やす傾向
- 景気後退期: 債券の比率を増やす傾向
これらは一般的な指針であり、個人の状況や目標に応じて調整することが重要です。また、定期的な見直しとリバランスを行うことで、長期的なリスク管理と収益の安定化を図ることができます。
まとめ
長期投資において、暴落は避けることのできないリスクです。しかし、適切な対策を取れば、そのリスクを軽減し、安定した資産形成を目指すことができます。
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