米GoogleやApple、Facebookなどが哲学者を雇っているのをご存知でしょうか。日本でもリクルートやライオン、パルコなどで哲学コンサルティングを導入しています。IT化が加速する現代において、哲学が重要視されているのはなぜなのか。先が見えない時代にこそ必要な「哲学的思考」について紹介します。
哲学とは
「よくわからない」「難しそう」といった感想を哲学に持つ方も多いかもしれません。哲学は、2500年の歴史を持つ、「真理を捉え、追求し続けようとする」学問です。たとえば「生きる意味とは」「愛とは」「存在とは」といった答えのない本質について思考を巡らしていきます。こう聞くとデータを根拠に合理的に進めるビジネスと哲学は対局にあるように感じます。しかし今、多くの世界的企業で哲学的思考が注目されているのです。
哲学的思考とは
哲学的思考というのは、答えのない問題に対して「どうすればいいのか?」という問いかけからはじまります。そして「そもそも何故、それを行うのか?」「本当にそれは正しいのか」「他の方法だとどうだろうか」といった風に、前提さえも疑いながら根本的な問いを掘り下げていきます。
正解のない答えに対して問いを重ねることで、思ってもみなかった気付きを得られます。そして同時に物事を見抜く力が養われていくのです。「本質」を洞察し、その「答え」を捉えようと問いを重ねる、それが哲学的思考です。
多くの世界的企業が哲学を導入している
哲学は一見ビジネスに関連がなさそうに見えます。しかし欧米ではビジネスに哲学的思考を導入する動きが増えています。たとえば米GoogleやAppleでは、専属の「In-House Philosopher(企業専属哲学者)」が雇われて話題になりました。またマッキンゼーも哲学の博士水準の学位を習得した社員が在籍しています。日本ではリクルートやライオン、パルコなどで哲学的思考が導入されています。そして企業のヴィジョン構築や課題解決の手段、マーケティングリサーチやコンセプトメイキング、アイデアワーク、組織開発、社員研修などで活用されています。
哲学的思考が求められているワケ
このように大企業が哲学者を雇用し、哲学的思考を取り入れるのには理由があります。現代、カーナビや電子マネー、無人レジなどのIT分野は生活の一部となっています。第4次産業革命の「IoT」「ビッグデータ」「AI」「ロボット」の応用によりさらに浸透していくでしょう。テクノロジーは私たちが快適な生活を送るために欠かせません。しかしITを追求するだけでは限界があると多くの企業が感じはじめています。
グローバル化が進む現代では、生産者と消費者の間には物理的距離があります。また文化の違いから心理的距離があることもあります。そしてそこには多種多様や価値観が共存しています。さらにAI(人工知能)やロボットの進歩によって新たな倫理的問題も生じています。変化が目まぐるしい現代では、少し先の未来でさえ予測するのが難しくなっています。大企業であればマーケティングに数億円という莫大なお金をかけることも可能でしょう。ですが実際に多額のお金を投資しても、必ずしも成果が出るとは限りません。そんなデータだけでは答えを導けない現代だからこそ、哲学的知見と思考が必要とされているのです。
まとめ
先が見えない時代だからこそ、確固たるデータを根拠にしたくなります。しかし変化が激しい現代において、テクノロジーを追い求めるだけでは限界があります。予測できない先を見据えるために必要な哲学的思考。ビジネスパーソンとしても身につけておきたい思考だと言えそうです。
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